1dayインターンシップの落とし穴と内定率を高める方法
2010年6月18日

■インターンシップの受入期間が長い程、内定率は高くなる。
まず、弊社が行った調査結果のデータをご覧いただきたい。

これは2010年4月22日~4月30日に就職活動生492名から回答を得たアンケートの結果である。自分が参加したインターンシップの中で最もお薦めできるインターンシップを1つ選んでもらい、現在のその企業における選考状況について聞いたものである。
受入期間が長くなるほど、内定に至った率が高くなっていることがお分かりいただけると思う。特に1日の内定率が極端に低くなっている。その原因を本コラムで探っていく。
■インターンシップ設計の7ステップ
インターンシップの設計は以下の7つのステップを着実に行うことが成功への近道である。

どれも当たり前とも言えるが、全てのステップがしっかりと考え尽くされ、着実に実行されているケースは稀である。特に1dayインターンシップではとかく甘くなりがちである。一方で、成功しているインターンシップは例外なく、7つのステップがしっかりと明確になっているものである。私が今年手掛けたある外資系メーカーの1dayセミナー(弊社では1dayインターンシップという呼び方はお薦めしていない。詳しくは後述。)では、参加者30名の中に採用したい人材が6名(内訳は内定承諾3名、返事待ち1名、選考辞退2名)と高い確率でターゲット人材と接触し、内定承諾に至っている。その他、東証一部上場のIT企業、未上場の人材系コンサルティング会社などでも1dayセミナーから高確率で内定承諾者を獲得している。

冒頭でご紹介したデータでは、1dayインターンシップからの内定率は極端に低い。一方で、上記でご紹介したような成功事例もある。では、どのようにすれば1dayインターンシップからの内定率を高めることが出来るのであろうか。ここからは、1dayインターンシップで特に陥りやすい落とし穴をご紹介しながら、インターンシップからの内定成果を高めるポイントを解説していく。1dayインターンシップに限らず、インターンシップを行う上で大切な点となるので是非ともご覧いただきたい。
■1dayインターンシップの落とし穴1「選考」
1dayインターンシップは長期のインターンシップに比べて導入のハードルが低い。その分、落とし穴も多いので実施に当たっては十分に気をつけていただきたい。
まず、最も多くの企業が陥りやすい落とし穴が「選考」のステップにある。2日以上のインターンシップは基本的には選考がある。一方で、多くの1dayインターンシップでは選考が実施されてない。先着順での受付がほとんどである。
インターンシップがそれほど普及していなかったときは、インターンシップ参加者であればある程度の質が担保されていた。しかし、今や学生の約5割がインターンシップに参加する時代。インターンシップ参加者だからといって自社が採用したいような学生である確率は、通常の採用活動にエントリーしてくる学生とそう大差ないのである。2日以上のインターンシップの場合は、書類選考と面接選考と2回以上の選考を実施いただくのをお薦めする。1dayインターンシップの場合は、書類選考のみでも問題ない。ただ、なるべくその人の行動事実を知ることができるような設問、事前に自社についてある程度理解してもらうような設問が望ましい。能力面からのスクリーニングと志望度からのスクリーニングが可能となる。以下に設問例を簡単に示した。

■1dayインターンシップの落とし穴2「仕事体感の設計」
学生はインターンシップに対して、「実際の仕事内容を知りたい」、「自分の仕事の適性、興味を確かめたい」、「業務に携わってみたい」など、仕事を体感することに大きな期待を抱いている。採用活動では仕事への理解を高めることは一貫して大切なことであるが、特に就業体験を意味するインターンシップにおいてはその重要性は極めて高くなる。この仕事を体で理解してもらうことについては、受入期間が長いほど効果的なのである。その点、1dayインターンシップは受入期間が短いために大きなハンデがある。
そこで、まず重要なのが期待値の調整である。1日で出来る仕事体感には限りがある。実際に業務に携わることは出来ないのであれば、始めからインターンシップと言わずに、セミナーといってしまった方が安全である。毎年のように学生から1dayインターンシップに対する不満の声が上がるが、その大半がインターンシップという言葉に対する期待と、実際の内容とのギャップである。せっかく興味を持ってくれた学生の期待を裏切ってしまっては、むしろ採用活動にマイナスに働きかねない。私としては、1dayインターンシップではなく、1dayセミナーという呼び方を強くお薦めしている。
続いて重要なのが、インプット・アウトプット・フィードバックをしっかりと行う内容にすることである。1dayインターンシップで最も多いのが、学生がグループワークを行い、新規事業の立案や新商品の企画など何かしらのアウトプットをする内容である。私はこのタイプのインターンシップをプロジェクト型インターンシップと呼んでいる。
このプロジェクト型インターンシップは、新規事業担当、企画職、マーケティング職などの仕事を疑似体験してもらうことに主眼がある。仮想のグループワークであったとしても、あくまで仕事体感なのである。通常の業務において社員が常識として身につけている知識、業務遂行上に必要な情報は出来る限り学生にもインプットしてもらう。そして、学生自身が自らの頭で考え、行動する機会を用意していただきたい。そして何より大切なのが的確で厳しめのフィードバックをしっかりと行うこと。仕事はやって終わりではない。お客様や上司からの評価があり、それを受けて改善し、成長していくのが社会人である。経営者、事業責任者、マーケッターから講義をしてもらい、その方々から学生に対して2回以上のフィードバックを直接行ってもらうのが理想的である。フィードバックを受けて、さらに改善をするというプロセスは、学生にとって成長する機会となり、印象に残りやすい。また、的確なフィードバックを受けると、その社員や会社の魅力がうまく訴求出来るというメリットもある。選考という視点では、学生がどれほど吸収力や立ち直る力を持っているかを見る良い機会にもなる。是非とも学生と真剣に向き合っていただきたい。

1dayインターンシップであっても、上記の仕事体感のサイクルを2度以上回していただきたい。
■1dayインターンシップの落とし穴3「フォロー」
「選考」と同様に、1dayインターンシップでは「フォロー」も行われていないことが非常に多い。これは非常にもったいないことである。ここ数年、学生に対して「良かったインターンシップ、悪かったインターンシップ」についてグループインタビューを行っていて感じることであるが、1dayインターンシップを実施してそれきりとなってしまっている企業は学生に忘れられてしまうことが多い。これは学生のインターンシップの参加社数が多くなっていることが影響していると思われる。特に選考をくぐり抜けて2日以上のインターンシップに参加した学生ほど、1dayインターンシップの記憶が薄れてしまっている傾向がある。せっかく手間を掛けて行った1dayインターンシップを実りのあるものにするために、是非とも何かしらのフォローをしていただきたい。

フォローの代表例としては、インターンシップ参加者限定の社員相談会、懇親会である。インターンシップ当日にも社員座談会を必ず設けていただきたいが、後日に改めて社員や経営陣などと交流する機会をご用意いただくのはスタンダードなフォロー施策であるが大変効果的である。
また、人数が多くてフォローしきれないという場合には、インターンシップ当日に是非採用したいと思うフォローすべき学生をピックアップしておくことをお薦めする。優勝チームと個人賞受賞者(優秀と判断した学生に出す)には後日、経営者との特別ランチ会を用意するなど、プログラムの中に始めからフォロー施策を盛り込んでおくことは効果的である。とにかく、インターンシップを実施したら、必ずフォローは実行していただきたい。
また、特別に機会を設けなくともフォローは出来る。学内セミナーや会社説明会など1dayインターンシップ後の採用施策を行う度に優先案内するのである。優先して案内してあげること自体も学生にとっては嬉しいが、案内するのをきっかけに就活の状況をヒアリングするなど、学生とのコミュニケーションのきっかけにしていただくのが効果的である。

以上、1dayインターンシップの落とし穴として「選考」「仕事体感」「フォロー」の3点を挙げたが、他のステップにおいても抜けがないか、甘い部分がないか確認・振り返りを行っていただきたい。今回は分かりやすく1dayインターンシップの落とし穴として紹介したが、他のインターンシップでも同様の落とし穴がある。せっかくの行ったインターンシップでターゲット学生にネガティブな印象を与えてしまっては非常にもったいない。是非とも一つ一つ着実に実行していただきたい。
| 神谷政志 学生時代に人材業界就職支援サイトSPIRITSを開設し、人材業界就職支援団体SPIRITSを創設。SPIRITSは団体・サイトともに現在七代目に当たる現役学生が継続運営している。株式会社ジョブウェブに入社後、営業部チームリーダー、ソリューションマーケティング部マネージャー、採用支援事業部 事業部長を経て、現在、事業推進室マネージャーとして、新規事業の立ち上げと、経営者・人事担当者向けセミナーの企画・統括を行っている。プライベートでは、NPO法人にて小学校・中学校・高校生に対する教育活動に携わっている。 |


