新卒に求める人材像の設計
2009年7月23日
採用担当者ならご存知だとは思うが、経済産業省が打ち出している「社会人基礎力」と言うものがある。大手企業を中心にこの指標を使って新卒採用や新人育成に取り掛かり始めている。学生の間でも少しずつ広がりを見せているようだ。なお、同省のホームページでは、企業が求める人材像と社会人基礎力の関係を表にまとめたファイルも公開されている。
ご存知ないかたも少なからずいるのではないかと推察するので、ごく簡単に同省のホームページから抜粋してみたい。
■社会人基礎力の3つの力を構成する12の要素
1.前に踏み出す力(アクション)
・主体性:物事に進んで取り組む力
例)指示を待つのではなく、自らやるべきことを見つけて積極的に取り組む。
・働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
例)「やろうじゃないか」と呼びかけ、目的に向って周囲を動かしていく。
・実行力:目的を設定し確実に実行する力
例)言われたことをやるだけではなく自ら目標を設定し、失敗を恐れずに行動に移し、粘り強く取り組む。
2.考え抜く力(シンキング)
・課題発見力:現状を分析し、目的や課題を明らかにする力
例)目標に向って、自ら「ここに問題があり、解決が必要だ」と提案する。
・計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
例)課題の解決に向けた複数のプロセスを明確にし、「その中で最善のものは何か」を検討し、それに向けた準備をする。
・創造力:新しい価値を生み出す力
例)既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい解決法を考える。
3.チームで働く力(チームワーク)
・発言力:自分の意見をわかりやすく伝える力
例)自分の意見をわかりやすく整理した上で、相手に理解してもらうように的確に伝える。
・傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
例)相手の話しやすい環境をつくり、適切なタイミングで質問するなど相手の意見を引き出す。
・柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
例)自分のルールややり方に固執するのではなく、相手の意見や立場を尊重し理解する。
・情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
例)チームで仕事をするとき、自分がどのような役割を果たすべきかを理解する。
・規律性:社会のルールや人の約束を守る力
例)個々の職業倫理に照らし、自らの発言や行動を適切に律する。
・ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
例)ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応する。
ご覧になっていかがだろう。昨今、プロジェクト単位で仕事を進める会社が増えている背景が垣間見えるガイドラインとなっているのではないだろうか。ガイドライン作りに関わった組織や人物を容易に想像できる方もいらっしゃるだろう。
さて、ここからが本題というか、問い立てである。あなたは、採用担当者として、仮に上記の指標を参考にするとしても、社内で活躍する人材の要素をどこまで事実と経験に基づいて把握しているであろうか。人材の内部要因とされるコンピテンシーに加え、外部要因としての職場環境、本音レベルの人間関係、社内政治など、新卒を自社に迎えるにあたって、この目に見え難い、働いてみて初めて分かる現実を踏まえて、「どんな人材が当社の文化と適合性が高いのか?」を的確に把握しているであろうか。
仮に把握が十分でない場合は、数年前の採用に遡って、採用後の人材における企業内適合性と業績レベルの後追い調査を実施してみてはどうだろう。もちろん、調査であるからには、単なる現場ヒアリングだけではなく、客観性の高い自社独自の測定方法は必要だろう。この調査をベースに「当社で成長する人材の要素」を洗い出す。そして、この自社固有の人材イメージを持って、採用すべき新卒者の基準を作ってみると良いだろう。単純な話だが、「うちに合うか合わないか」をロジックとファクトをベースに調査、分析し、思い込みを排除した自社固有の人材像を作り、採用活動に当たってもらいたい。
今年新卒である大手企業に入った社員から「何だか騙された感じがします。説明会や面接での話と全然違っていて困惑しています。辞めようかどうか悩んでいます。もっとちゃんと調べてから内定に返事を出せばよかったのですが。。。自分がいけないのですよね?」と質問された。企業、そして学生、どちらにとっても不幸な事実である。学生側に責任はない。大人である企業側の責任だと私は思う。
「とりあえず、採用サイドとして社内が納得する「出来る人材」を採って、あとは現場に育ててもらおう」という発想が両者の不幸の要因になっているのかもしれない。企業として、社会人基礎力を自己証明する良い機会でもあるだが。現場サイドから見れば、人事は所詮、「ひとごと(人事)」なのだろうか。そうではないはずだ。
執筆者プロフィール
ご存知ないかたも少なからずいるのではないかと推察するので、ごく簡単に同省のホームページから抜粋してみたい。
■社会人基礎力の3つの力を構成する12の要素
1.前に踏み出す力(アクション)
・主体性:物事に進んで取り組む力
例)指示を待つのではなく、自らやるべきことを見つけて積極的に取り組む。
・働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
例)「やろうじゃないか」と呼びかけ、目的に向って周囲を動かしていく。
・実行力:目的を設定し確実に実行する力
例)言われたことをやるだけではなく自ら目標を設定し、失敗を恐れずに行動に移し、粘り強く取り組む。
2.考え抜く力(シンキング)
・課題発見力:現状を分析し、目的や課題を明らかにする力
例)目標に向って、自ら「ここに問題があり、解決が必要だ」と提案する。
・計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
例)課題の解決に向けた複数のプロセスを明確にし、「その中で最善のものは何か」を検討し、それに向けた準備をする。
・創造力:新しい価値を生み出す力
例)既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい解決法を考える。
3.チームで働く力(チームワーク)
・発言力:自分の意見をわかりやすく伝える力
例)自分の意見をわかりやすく整理した上で、相手に理解してもらうように的確に伝える。
・傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
例)相手の話しやすい環境をつくり、適切なタイミングで質問するなど相手の意見を引き出す。
・柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
例)自分のルールややり方に固執するのではなく、相手の意見や立場を尊重し理解する。
・情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
例)チームで仕事をするとき、自分がどのような役割を果たすべきかを理解する。
・規律性:社会のルールや人の約束を守る力
例)個々の職業倫理に照らし、自らの発言や行動を適切に律する。
・ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
例)ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応する。
ご覧になっていかがだろう。昨今、プロジェクト単位で仕事を進める会社が増えている背景が垣間見えるガイドラインとなっているのではないだろうか。ガイドライン作りに関わった組織や人物を容易に想像できる方もいらっしゃるだろう。
さて、ここからが本題というか、問い立てである。あなたは、採用担当者として、仮に上記の指標を参考にするとしても、社内で活躍する人材の要素をどこまで事実と経験に基づいて把握しているであろうか。人材の内部要因とされるコンピテンシーに加え、外部要因としての職場環境、本音レベルの人間関係、社内政治など、新卒を自社に迎えるにあたって、この目に見え難い、働いてみて初めて分かる現実を踏まえて、「どんな人材が当社の文化と適合性が高いのか?」を的確に把握しているであろうか。
仮に把握が十分でない場合は、数年前の採用に遡って、採用後の人材における企業内適合性と業績レベルの後追い調査を実施してみてはどうだろう。もちろん、調査であるからには、単なる現場ヒアリングだけではなく、客観性の高い自社独自の測定方法は必要だろう。この調査をベースに「当社で成長する人材の要素」を洗い出す。そして、この自社固有の人材イメージを持って、採用すべき新卒者の基準を作ってみると良いだろう。単純な話だが、「うちに合うか合わないか」をロジックとファクトをベースに調査、分析し、思い込みを排除した自社固有の人材像を作り、採用活動に当たってもらいたい。
今年新卒である大手企業に入った社員から「何だか騙された感じがします。説明会や面接での話と全然違っていて困惑しています。辞めようかどうか悩んでいます。もっとちゃんと調べてから内定に返事を出せばよかったのですが。。。自分がいけないのですよね?」と質問された。企業、そして学生、どちらにとっても不幸な事実である。学生側に責任はない。大人である企業側の責任だと私は思う。
「とりあえず、採用サイドとして社内が納得する「出来る人材」を採って、あとは現場に育ててもらおう」という発想が両者の不幸の要因になっているのかもしれない。企業として、社会人基礎力を自己証明する良い機会でもあるだが。現場サイドから見れば、人事は所詮、「ひとごと(人事)」なのだろうか。そうではないはずだ。
執筆者プロフィール
| 古波倉 正嗣(こはくらまさつぐ) ヒューマンキャピタル・イニシアティヴ代表 ヒューマンキャピタル・イニシアティヴ代表、(株)マンゴーズ シニアアドバイザー、国際ディベート学会公認 ディベートトレーナー。現在、企業、官公庁研修所、自治体等 において、「思考力強化/コミュニケーション力強化」をテーマに、問題解決手法、論理的思考法、ディベート(日本語/英語)、プレゼンテーション(日本語/英語)、ビジネスラ イティング(日本語/英語)等、様々なプログラムの開発及び指導を行う。企業研修も多く人事との交流も深い。学生向けの就職活動支援セミナー講師歴は約15年になる。 問い合わせ先: ![]() |



