あるセミナーで講師を依頼された。引用したい文章・文献があったのだけれど、何という書籍にかかれていた文章だったか忘れてしまった。そんなとき、社内のブログに気になる書籍や文章を書きとめていたことを思い出し、検索。すぐに探していた本を見つけだした。
本を読んで気付いたことや、記録しておきたいことをまとめる作業は大変だけれど、知識の定着という面では役にたつ。これから機会があれば、こちらのblogでも本を読んで覚えておきたいことをまとめていこうと思う。
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というわけで、今日、記録しておきたいと思ったのは、「教育×破壊的イノベーション」
。現代のイノベーション理論の第一人者といえる、クリステンセン氏による「教育」のイノベーション理論だ。引用、記録しておきたい部分は数多くあるが、まずは下記の一文。
日本企業が1970年代と80年代にアメリカの競合企業を追い抜いていた理由として決まって挙げられたのが、日本の人口はアメリカの四割でしかないのに、数学・科学・工学を学ぶ生徒がアメリカの四倍もいるという説だった。
しかし日本が繁栄を遂げると興味深いことが起こった。理工系志望の学生や、理工系の学位を取得する学生の割合が、この20年にわたって低下しているのだ。何故、こんなことが起こっているのだろうか?
~中略~
途上国が製造業を基盤とする経済を発展させるとき、生徒は科学・数学・工学を学ぶことで、貧困からの脱出を保障する大きな見返りを得ることができる。だが同じ国が安定と繁栄を実現すれば、生徒は自分が楽しいと感じ、自発的動機づけの持てる科目を、より自由に学べるようになる。
そんなことから、奇妙な話だが、自発的動機づけをもてるような方法で教えられていない科目にとって、繁栄は敵になることがある。これが技術的優位がまず日本に移り、続いて中国とインドに移っている主な理由なのだ。
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以前、私自身も理系学生の理系就職離れに関してのエントリを書いたことがあるが、この本ではより汎用的に「技術優位」が大国から発展途上国に移る様が描かれている。
現在の「ものづくり大国」としての日本は、軍事・宇宙開発等の一部技術を除き、多くの分野で日本は世界のトップの技術を保有している。しかし、一方では中国等への民間での技術移転も急速なスピードで進んでいる。日本の技術の粋を集めたエレクトロニクス分野の移転も進んでいるため、早晩中国と日本の技術レベルは並ぶだろう。(アメリカの軍事・宇宙開発技術のように、日本企業が手放したくないコアな部分に関してはいましばらくは大丈夫だろうが、国防技術に比べて外部に流出するのは早いだろう。)
もし、日本が「ものづくり」の道を維持しようとしているのであれば、「ものづくり」に興味・関心のある学生が自然と増えるように教育・就職の面での改革を急がねばならないと感じる。
科学・数学・工学等の分野に関して学ぶのが楽しくなるように教育のあり方を変えるという「自発的動機付け」に加え、職探し・給与面での優遇などの「外発的動機付け」も必要だろう。
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もうひとつ。
教育×破壊的イノベーションで紹介されている、ハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナーの多元的知能理論もメモしておく。ガードナーは「IQ」や「EQ」と呼ばれる狭い範囲の知能の定義を超え知能には8つのタイプがあるということを提唱した。かっこ内はその能力に優れた代表的人物だ。
1)言語的知能(ウォルト・ホイットマン)
2)論理・数学的知能(アルバート・アインシュタイン)
3)空間的知能(フランク・ロイド・ライト)
4)運動感覚的知能(マイケル・ジョーダン)
5)音楽的知能(ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト)
6)対人的知能(マザー・テレサ)
7)内省的知能(ジークムント・フロイト)
8)博物学的知能(レイチェル・カールソン)
8パターンすべての知能を兼ね備えている人は少なく、多くの人は2~3の秀でた知能を持っている。ということが書籍内で述べられており、その例として、アルファベットの暗記が出来なかった少女が体を使ってアルファベットを表現することで、言語的知能の発達を促し、その分野に関しての知能を開放した様が描かれている。
これは、私たちが外国語を学ぶ際にも使える方法で、1に優れている人であれば、「読み・書き」特に英語で日記やコラムをつづるというやり方が語学の発達を促すし、6に優れている人であれば、ガンガン話したほうがいいだろう。また、2に優れている人であれば文法から学んだほうが良いかもしれない。5であれば音楽や「聞く」という行為を通じて学ぶのが得策か。
企業の採用活動に少し落とし込んでみると、言語・論理・数学といった1~2の知能に関しては筆記試験で見ているところが多い。それに加えて現在面接で特に見られているのは6の対人的能力と言えるだろう。
残念ながら、それ以外の能力に関しては、それらの専門的な技能が必要とされている会社でしか見られていない。
しかし、もし企業内で、採用・人材育成に関わる我々一人ひとりが、社員の優れている知能を発見し、その知能にあった指導方法・仕事の与え方が出来るとしたら、ひとりひとりの可能性を伸ばしてあげることが可能になるのではないか。(ひとつの能力を伸ばし、成功体験を積むと自己信頼感が高まり他の知能も伸びることが知られている。一流のスポーツ選手や芸術家に他の分野でも才能を発揮するのは、自己信頼感とそれに伴う他の分野の能力向上が関係しているのだろう。)
もちろん、採用・人材育成に関わらないとしても、一人ひとりが個々に異なる知能を持ち、自らが得意とする「仕事」や「学び方」を知ることは、自己の可能性を伸ばし幸せを実現する近道だと思う。ジョブウェブを利用する学生にもこのようなメッセージを伝えていければと思う。