• 10月24日。土曜日にもかかわらず、ジョブウェブ会議室にはfukuiの呼びかけに応じ、7名の戦士が集まった。そう、今日は己の頭脳と交渉力の限りを尽くす、ビジネスゲーム大会~Gachinko!~の日。その仁義なき戦いの一部始終を報告したい。
     
    ■本日のお題:ディプロマシー

    交渉ゲームの金字塔といわれるディプロマシー。20世紀を代表するこの偉大なボードゲームの舞台は第一次世界大戦。権謀術数渦巻く欧州で、軍事力による覇権を握ることがこのゲームの目的だ。

    つい先日のエントリで、「軍事力が外交上のパワーとなる時代も終わるんじゃないか」ばりの殊勝なことを述べたfukuiではあるが、なんといっても舞台は野蛮極まりない20世紀初頭。ビジョンといえば、大砲の数。経済といえば攻め取った植民地の数という時代だ。平和主義者の私は本来であれば、このような野蛮な時代のゲームなどやりたくもないのだが、

    「それでも、勝たねばならない時もある!!」

    このゲームの特徴はなんといっても、『最初の国決めの時以外、運の要素は一切無い』という、ハードボイルドなゲーム内容にある。テクノロジーとか、ユニット毎の強さの違いみたいなものもなく、戦いは純粋に

    「外交と地政学上の優位性を活かして、戦力をどれほど集中できたか。」

    にかかっている。

    美しいボードを前に心が昂る

    美しいボードを前に心が昂る

    私が引いた国はドイツ。論理的かつ、勇壮な戦略を好むfukuiに最もふさわしい国家と言えよう。さて、ゲームを始めるまえに、Jobweb社の部長としていっておかねばならぬことがある。
     
    Read more…

    Tags: , ,

  • たまには学生さん向けに書いてみようかと思い立つ。
    間抜けな記事ばかりだと、馬鹿にされちゃうし。(僕だけじゃなくて、ジョブウェブもね)

    さて、まずはピーター・ドラッカーの話から。

     ピーター・ドラッカーって、マネジメントの分野では神様のように扱われるけれど、実際にその言葉は示唆に富んでいる。彼はそのイノベーション論の中で、イノベーションの第五の機会として、「人口構造の変化」を挙げている。彼は人口構造の変化に着目することの重要性を次の言葉で表現している。

    #産業や市場の外部における変化のうち、人口の増減や年齢構成、雇用や教育水準、所得など人口構造の変化ほど、明白なものはない。いずれも見誤りようがない。それらの変化がもたらすものは、予測がもっとも容易である。しかも、リードタイムまで明らかである。

     そして彼は、人口構造の変化を読み切れず失敗した事例として、アメリカの大学の例を取り上げている。

    #1970年当時、アメリカでは、学校の生徒数が少なくとも10年から15年間は1960年代の25~30%になることがわかっていた。ところがアメリカの教育学部はこの事実を受け入れようとしなかった。子供の数が年を追うに従って増加することは自然の法則であるとでも考えているかのようだった。そうして彼らは教育学部の募集に力を入れ、その結果、わずか数年後には卒業生の就職難を招き、挙句のはてに教育学部の廃止を余儀なくされた。

     俗説だが、企業が成功するかどうかは外部環境で8割決まると言われている。あくまで俗説なので、根拠はない。しかし、時代の変化を理解し、伸びゆく市場に身をおけば、衰退する市場で勝負するよりもはるかに成功確率は高くなる。

     1990年代の後半にインターネットビジネスを立ち上げた企業や、200年代初頭にモバイルビジネスに取り組んだ企業は他の業界で勝負した人たちに比べて大きく成長した可能性は高いだろう。多くの経営書で、この「外部環境を読み取ることの大切さ」「成長市場に身をおくことの大切さ」をうたっている。(上りのエスカレーターに乗れ、とかそういう表現がよくつかわれるね。) この「成長市場に身を置くことの大切さ」に関しては、クレイトン・クリステンセンがデータを用いて明快に説明している。

    #過去20年間では、コンピューターおよびオフィス機器関連がもっとも成長率の高い産業で、起業後4.2%もの会社が、Inc 500のリスト入りを果たしています。一方、ホテル業ではその割合はわずか0.007%でした。

    一応、ここまでで主張したかったことをまとめると

    1)外部環境の変化って、企業の成功にすげー大事。
    2)外部環境の変化の中でも、人口動態の変化はわかりやすい。

    以上、2点となる。
    これから就職活動する人は、ここらへんを抑えたうえで企業選びをしたり、グループディスカッションに臨んだりしたらいいんじゃないかと思う。

    もうひとつ。政治という側面から見た、企業の成長性も押さえておくといいかもしれない。マスコミとか受ける場合はGDや面接で意見を聞かれることもあるだろうし。この流れで、「人口動態」「外部環境」って側面から説明してみる。

     日本という国は1998年を境に労働力人口が急激に低下している。高齢化が世界一のスピードで進んでいるのだから、労働力人口も世界一のスピードで減る。一人あたりの生産性を上げることができればいいが、残念ながら日本国民の生産性は23位で同じく停滞の時期を迎えている欧米諸国と比べても決して高くない。ちなみに87年には一人当たりGDPは1位。05年には14位まで後退し、最新(07年)のデータで、23位だ。為替の影響はあるにせよ、急速に低下し続けている。

    一人あたりの生産性は減り続け、労働力人口が減り続けるので、普通に考えたらぶっちゃけ税収なんて上がりっこない。
    だから政府はどうしようかって頭を悩ませている。

     今の民主党の政策は道路工事に代表される乗数効果の少ない景気対策を控え、成長の余地がある輸出産業、中でも人口の増加が顕著なアジア諸国に対して積極的な進出をしている企業を中心に景気対策をしかけるという方針が出ている。これらの企業は政府もバックアップしているし、これからぎりぎり生き残れるんじゃないか。と思う。

     また、将来を見越して、子ども手当、教育投資をマニフェストに盛り込んでいる。保育所を充実し、労働条件を良くし、母子手当てを上げても出生率の回復に成功した国はないので、実は子ども手当は景気対策以外の効果はほとんどないと思われるので、この政策は「ゴメンナサイ」してもいいと思う。教育投資はまぁ、ありかな。と思うけどそれ以上に大学を半分にしたほうが教育水準は上がるんじゃないか?とも思う。とりあえず文系学部を半分。(経済や経営は定員維持でもいい)。理系情報系の学部は定員が1.5倍になるように予算配分をし直すともっとベスト。

     まぁ、長くなったけど、結論から言うと95兆円っていう概算要求は多すぎだし、まだまだ盛り込んでない予算もあるって話だから、短期的な景気対策の予算配分に関しては見直しをかけて、子ども手当、教育投資は翌年以降、景気が落ち着いてからでいいんじゃないか。って気がする。

     たぶん、民主党はもう気づいてて、メンツだけの問題だと思うので、頑張ってほしい。

  • 約3ヶ月ぶりに東洋経済にコラム原稿を提出した。

     忙しかったのもあるが、

    「企業変革を起こせるようなパワーある人材を採用するためにはどうすればよいか。」

    という問いに対して、自分なりに納得のいく考察をしたかったから。という理由が大きい(担当のNさん、迷惑をかけてごめんなさい)。3ヶ月たって、自分の中でなにか吹っ切れたものがあったのか、すいすい書けた。企業変革を起こせるような優秀な人材を採用することって、きっと思ってるよりも簡単でシンプルだ。

     まだ、掲載は先になると思うが、是非多くの人に読んでもらいたいと思う。
     
     コラムに書かなかったことがひとつある。優れた人材を採用するのに「優れたミッション、ビジョンが必要である。」という提言だ。僕は心躍らせ、社会に価値を生み出す優れた理念のようなものが必ず必要だと思うのだが、そこに関してはまだ論理的に説明できないので、今回は記載しなかった。優れた理念があっても、つぶれてしまう会社もあれば、理念がなくともそこそこ儲ける会社もある。理念がしっかりしていることはいいことだが、さすがに世界に冠たる大企業になると、社員一人ひとりへの理念の浸透度って薄くなるんじゃないかな。と思ったり。

     ここはおいおい考えていくこととしよう。

    —-

    さて、本題。東洋経済のコラムの最後に次のような一文を載せた。

    —-

     優秀な人材を採用するのが本当に難しくなったと思う。
     小回りが利かず、意志決定に時間がかかる企業であればなおさらだ。

     3億年前~7000万年前に栄華を誇った「恐竜」が何故、絶滅したかご存じだろうか。隕石の衝突による寒冷化が主たる原因と捉えられているが、それは今回の経済危機のように「外部要因」であり表面的な問題に過ぎない。

     恐竜という繁栄を謳歌した種が一匹残らず絶滅した、真の問題は恐竜の内部構造にあったといわれる。変温動物である弱点を補うために2億年かけて進化させてきた「大型化」と大型化に伴う「長寿命」が隕石の衝突による環境変化の影響を何倍にも増幅させてしまった。長寿命であったが故に、進化のスピードが当時小動物であったほ乳類の何十倍も遅かった。結果、環境の激変に適応できず、絶滅してしまった。

     業績が悪化している企業もあるだろう。ただ、その悪化による原因を外部に求めているだけであれば、企業の存続はままならない。いつも、真に重要な問題は自らの内部にある。そして、内部をかえることが出来るのもまた、内部のものだけだ。

    —-

    戦略立案の基本は、外部環境分析と内部環境分析にあるが、この二つはそれぞれほんの少しずつ性格が違う。明確に書籍に書いてあるものは皆無といっていいが、優れた経営者は本能的に知っていることだろう。これから事業創造や事業変革に取り組む人はぜひとも覚えておいて欲しいと思う。

     事業の成否は8割が外部環境で決まる。
     書籍によっては、上がりのエレベーターに乗る。という表現を使っているところがある。
     フォローの風や、波に乗る。という表現を使う企業もある。
     この外部環境を読むことのパワーは、ある優れた経営コンサルタントの言葉に的確に表されている。

     「様々な経営者を見てきた。そして一様に優秀だった。しかし、優秀であっても事業が失敗することもあれば、馬鹿でも成功することもある。どこに違いがあるか調べた結果、成長市場でビジネスを展開していたかどうか。だけだった。」

     事業を拡大するとき、その成否は8割がた外部環境で決まる。
     それはそうだろう。自助努力で出来ることは限られている。むしろ、自助努力するのは当然だとも言える。
     自助努力した上で、その努力を後押しするような風や波に乗れているかどうか。これが企業の急成長・拡大を実現できるかどうかの差となる。

     さて、それに対して、「危機への対処」という観点ではどうか。
     事業の創造・成長段階での成否は8割が外部環境をどこまで読みきり、利用するかにかかっているが、
     実は危機が起きたときの対処は逆で8割が内部の自助努力にかかっている。
     経営環境が悪化したときにいち早く次のビジネスのネタを発掘できるか、どうか。
     徹底的なコスト削減によって、厳しい経営環境下でも利益を上げることのできる体質を築けるか、どうか。
     全て、基礎体力というか企業の内面をどこまで強化していたかにかかっている。
     (だから、ネットバブルとか不動産バブルとか、様々な業界が一気にふくらみ、そして淘汰されていくのだ)

     故に、だからこそ、

     外部環境を読むのに優れた人材は攻めに向き、
     内部環境を整えるのに優れた人材は守りに向く。

     これからの経営戦略家たちに、この言葉がいくばくかの参考になればと思う。

  • 野中郁次郎先生を初めとした、6人の執筆陣による傑作「戦略の本質」をようやく読了した。
    昨年の年末に「1月に開催するセミナーの参考資料として」購入してから、実に4ヶ月近い時間をかけて読んだことになる。

    51yk4bp47zl_sl500_aa240_

    高校生ぐらいまでは、多読・速読派だったが、今は、一冊の本を読むのに本当に時間がかかるようになった。数ページ読む毎に、自分自身の経験や過去に読んだ本の内容と照らし合わせながら読むようになったからか。使い分けることができれば本当はもっと良いのだろうけど、本当に隅々まで読んでしまう。

    —-

    さて、そんな本書だが、傑作だった。本書を通じて執筆陣が伝えたかったことはまえがきに全て語られているので、一部転載する。

    「戦略論がないわけではなかったが、流行している戦略論は分析的な戦略策定に終始していた。分析的な戦略論が行き過ぎた結果、戦略を実践する人間の顔が見えなくなっていた。」

    「戦略とは、何かを分析することではない、本質を洞察しそれを実践すること、認識と実践を組織的に綜合することであるはずだ、という確信をわれわれは持つに至った。そこから導き出されたのは、戦略を左右し、逆転を産み出す鍵はリーダーの信念や資質にあるのではないか、という仮説であった。そこからプロジェクトは再開された。」

    「日本のリーダーには徹底的にリアリズムが欠落していると同時に、理想主義も貧困である、ということであった。この布アツの指摘は相矛盾しているように思われるかもしれないが、優れた戦略的リーダーはこれらを同時に達成しているのである。」

    —-

    戦略の本質は、20世紀に起きた6つの戦争(局地戦が主だ)を取り上げ、不利な状態から逆転を成し遂げた、「逆転のリーダーシップ」に関して触れている。僕が気に入った点は下記だ。

    ・戦わずして勝つ。というところが戦略の王道ではあるが、戦わずして勝つために、部分的な勝利を得る必要がある場合もある。そういう意味で、クラウゼヴィッツの「戦争とは、異なる手段を以てする政治の延長に過ぎない。」という言葉を実によく表しているものを取り上げている。政治の延長故に、世論をいかに味方につけるか。世界を味方につけるために、どのような勝利を納める必要があったか。を詳しく書いている。

    ・「戦略の本質が最も現れるのは逆転現象ではないか」著者らのこの仮説は、多少乱暴には感じる。しかし、世の中の多くのリーダーが求められているのは、「不利な状況から、勝利する」ということなので、この仮説に基づいた事例紹介、研究はビジネスに転用が利きやすく、参考になる。

    ・戦略に達するための分析的アプローチを否定しているわけではない。数字や現場の視察によるリアリズムを重視した上で、理想主義も大切である。と述べており、それは両立するモノである。と述べている。世のリーダーの多くは、リアリズムがある人は理想主義がなく、理想主義がある人はリアリズムがないように感じる。経営陣で役割分担できていれば問題ないのだが、基本的には経営者のもとには同質型の人材が集まるために、役割分担が出来ていないケースもままあるだろう。

    —-

    満足のいく、戦略の教科書に出会うことは稀だ。

    戦略の本質は差別化にある。
    己の強みを活かし、弱みを消す。他の強みを消し、弱みを攻める。
    様々な(そして新しい)分析の手法を知る。

    そういった何にでも当てはまるセオリーはあるが、セオリー通りに行っているだけでは、ライバルに打つ手を読まれて命取りになる。常に、現在おかれている環境や利用できる資源に応じて、臨機応変に戦略を立案していかねばならない。そうするためには、教科書を読み、セオリーを学ぶだけでは不十分だ。(もっともそれは最低限必要な行為ではある。)

    置かれた環境に応じて、解決策を立案する洞察力の訓練が必要不可欠だ。
    (あなたが、他に対して差別化され、比較優位を築ける戦略を立案したいのであれば、きっと。)

    軍隊では、事例研究に重きを置く(MBAのケースメソッドも軍隊の事例研究から生まれたモノだっただろうか。)というが、事例を学び、現在に応用して考えるにあたって、この「戦略の本質」は非常に優れた事例研究の書であると言える。

    —-

    歴史に学ぶ。自分未来塾の「歴史学」でもこの要素をもっともっと強くしていきたい。と思いを新たにした。

  • 月に2回、東洋経済さまよりコラムの投稿を依頼されている。そう、実はfukuiは目立たないが、コラムニストでもある(そして、いうまでもないが詩人でもある)。ジョブウェブをクビになったら、コラムを書くかポエムを書いて糊口をしのごうと考えている。

    実はここ2ヶ月は、経営者・人事責任者向けのセミナーを行うために、調査・研究に多くの時間を割いていたため、コラムを書くことが出来ずにいた。まぁ、全て言い訳ですが、久しぶりに原稿を送ったので、速報でアップ。

    下記、コラムは12月に投稿した、現状を打破する変革人材の採用・育成のすすめ(前編)の続編になる。

    —–

    現状を打破する変革人材の採用・育成のすすめ(中編)

    ■変革人材の具体例・特徴

    前回のコラムでは、「経営環境に関わらず、利益を生み出す仕組みを創り上げることが出来る人材」を『変革人材』と定義し、彼らを採用していくことの必要性を述べた。
    読者の中には、変革人材の人材像に関して、まだ具体的にイメージできない方もいるだろう。この場を借りて、私が出会ってきた変革人材の具体例を一部紹介したい。

    【社会人8年目Aさんの事例】

    Aさんは8年目の社会人。積み重ねてきた努力と能力、そして理解ある上司に恵まれたこともあり、30代前半にして、10億規模の会社の取締役となっている。今は既に辞してしまったが、少し前まではある上場企業の社外取締役として、その能力を余すところなく発揮していた。

    経営者である父の影響もあってか、学生時代からビジネスに興味・関心が高く、学生時代にはアルバイト先のNo.1営業として、店の発展におおいに貢献したという実績もあった。

    そんなAさんは、ビジネスに関しての知識・見識を高めるべく、就職活動を通じ縁のあった、とあるコンサルティング会社に入社を決意する。

    ここからの彼の行動が面白い。

    通常、コンサルティング会社に入ると、上司・先輩のアシスタントとして、調査・分析業務に従事し、知識・見識を高めていくものだが、彼はなんと先輩のサポート業務を拒否。持ち前の営業力を活かして、自らアポを取り、顧客のもとを訪れる。という破天荒な行動に出る。

    新人コンサルタントが、顧客のもとを訪問しても、経営の相談などに乗れるわけがない。その点を十分理解していた彼は、ある部署で開発されていた、小売店向けのパッケージシステムの販売を開始した。

    パッケージシステム故に単価も低く、若さもあって、社内での初年度の成績は中の下程度。決して高いものではなかった。しかし、学生時代の営業経験から、「自分の顧客を持たなければダメだ。」と感じていた彼の戦略、行動は2年目以降、徐々に花開く。顧客は増え続け、リピートのオーダーにより彼の成績は上がり続け、3年目には事業部のエースとなるまで成長する。

    しかし、彼の成長は止まらない。パッケージシステムを1人(あるいは社内の人間だけで)売ることに限界を感じていた彼は、5年目に大手ビールメーカー複数社と提携を結ぶことに成功する。ビールメーカーの営業は、システムの納品先でもある飲食店に確実に出入りしており、店舗の売上が上がることにより、ビールの消費が増えればこれ以上に嬉しいことはない。

    結果的に顧客と深い関係にあるビールメーカーの営業が、システムを販売する構造を創り上げることが出来、営業活動をしなくても、システムが自動的に売れるような仕組みを創り上げることに成功した。その成果によって今は取締役となり、更なる業績拡大に向けて今も様々な取り組みを行っている。

    ―-

    彼はひとつの事例に過ぎない。しかし、変革人材が保有する多くの特徴を備えた1人である。その特徴とは何か。洗い出してみよう。

    ■行動・選択に常に明確な意図がある。(目的意識)
    → ビジネスに関する知識・見識を高めるためにコンサルティング会社に入社。
    ■所属する組織での突出した成果。(行動力)
    → 学生時代のアルバイト先でのNo.1営業としての実績
    ■既存のやり方に囚われず、自分の能力が発揮される方法・環境を選ぶ。(自己理解、環境選択)
    → 先輩のサポートを拒否。自ら販売に動く。
    ■短期的な成果ではなく、中長期的に成果を最大化することを意識している。(長期的視点)
    → 初年度の成績を上げることではなく、自分の顧客を得ることにフォーカス。
    ■個人の成果ではなく、「仕組み」による成果を実現することを志向している。(戦略思考)
    → ビールメーカーとの提携

    全員に共通するわけではないが、「変革人材」の多くはこのような特徴を備えている。

    ■変革人材はどれぐらいいるのか。

    「変革人材が素晴らしいのはわかる。しかし、そういった人材と出会えることは極めて稀ではないか。」

    そういう声を聞く。私の感覚で申し訳ないが、上記のような人材は多く見積もって30人に1人。少なく見積もっても100人に1人程度はいるのではないかと考えている。

    中学でも、高校でも、大学でもいい。クラスに必ず1人は「目立つヤツ」「出来るヤツ」がいたはずだ。(もちろんそれが読者であるあなたの可能性もおおいにある。)彼らが変革の資質を持つ、「変革人材」の候補者だ。

    そんなにいるのであれば、我が社にも1人ぐらい入社してもいいのではないか。そう、考える経営者・人事の方もいらっしゃることだろう。しかしそれは主に二つの理由から実現が難しくなっている。

    理由・その一)
    変革の資質を持った人材は、力があるが故に、大手企業・人気企業に入社する可能性が高い。誰もが知っている有名企業に一度入っておくことは、肩書きとして転職の際に有利に働くし、力に見合った給与と、優れた先輩・同期に恵まれるケースも多い。変革人材と出会えない一つめの理由は、総合商社やグローバル・メーカー、コンサルティング会社、有名な金融機関など、一部の人気業種、職種に偏ってしまうという点である。

    理由・その二)
    「変革人材」の有り余るパワーを活かせるような組織制度を整えていない会社が未だ多い。「新卒一括採用」や「年功序列」は、成長期の日本経済を牽引してきた制度だが、変革人材の採用と育成には極めて不向きだ。しかし、こういった制度化で成長を遂げた企業は、過去の成功体験を否定するかのようなこういった組織の見直しにはどうしても慎重になってしまう。
    未だに、10年たたなければ部下を持てず、20年立たなければ経営に携われない。という企業は多い。コンサルティング会社や外資金融に勤めた20代の社員が、大企業の戦略立案のサポートや、大規模なM&A案件を手がけている今、「10年は泥のように働け」といった要求を若者に対して行っても、優秀な人材から見切りをつけて離れていく。限られた範囲と権限しか与えられていない状態で10年仕事をしている間に、彼ら自身の戦略能力、戦術能力を伸ばす芽を潰してしまっているかもしれない。
    組織が整っていない企業に入社した「変革人材」は早々に退職して、自分の力を存分に発揮できる環境に(起業や転職によって)身を置くか、あるいは、力を発揮できない環境で、いつの間にか凡庸な人材になってしまうか。どちらかの道を選ぶしかない。

    「大手・人気企業」でありながら「若いうちから、力を存分に発揮できる機会がある」という2つの要素を満たしている(ように見える)が故に、昨今、(業界を問わず)外資系企業への就職が人気となっている。各媒体会社が就職人気ランキングを発表しているし、日本企業への回帰が昨今進んでいるように見えるが、「9割の安定志向、企業頼み」の学生を対象にした人気ランキングは、「変革人材を採る」という視点からは役に立たない。

    必ず抑えておかなければいけないことは、先ほど挙げた、「目的意識」「行動力」「自己理解」「長期的視点」「戦略思考」といった変革の資質を持っているだけではダメで、それを積極的に活かす環境を整えるよう、会社を挙げて取り組む必要があるということだ。

    ■どうすれば変革人材を採用できるのか

    ここまで論じてきたことをベースに話すと、変革人材を採用するためにはいくつかの条件を満たす必要があることがわかる。

    1. 変革人材の力を120%引き出し、活かす環境を整えること
    2. 変革人材にターゲットを絞ったアプローチ(広報)を行うこと
    3. 変革人材かどうかを見極める選考プロセスを設計すること

    以上3点を満たすことで、企業の規模・知名度にかかわらず変革人材を採用することは可能だ。人材の力を120%引き出し、活かす環境とは、必ずしも、「評価制度や教育制度を整えなければ採用できない。」と言っているわけではない。むしろ、それを整えるのは最後で良い。必要なのは、彼らが持っている資質(長所)を見極め、それが最大限発揮できる仕事を与えることなのだ。

    中国の史記に出てくる言葉の中に、「士は己を知るもののために死す。」という言葉がある。人材1人1人の力を見極め、その力が発揮できる環境を用意し、適切に評価することが、今も昔も変わらない人材採用の極意であり、基本なのだ。

    次回のコラムでは、あるベンチャー企業を題材に、どのように変革人材を採用し、育成しているのか、実際に見ていくことにしたい。

    —-

    好況だとか不況だとか関係ない。優れた人材にとっては「10年は泥のように働け」といってもむなしく聞こえるだけだろう。過去の自分の成功体験を環境が変わったにもかかわらず、後進の人間に要求するのはやめてもらいたい。今の時代、10年泥のように働き、10年勉強し、10年マネジメントに取り組むというやり方では、時代に取り残されるばかりか、人材の成長の可能性を潰してしまうことになる(一部の人間、仕事に対してはそれが有効な場合もあるが)。人の成長を阻害すること、後輩が自分を超えて先に進むのを阻害することは、先に生まれたものが行ってはならない大きな罪のひとつだ。

    補足になるが、戦略と戦術と戦闘で、求められる資質はことなる。戦闘(現場のオペレーション)で成果を挙げたものしか戦術(マネジメント)に携われず、戦術で成果を挙げたものしか戦略立案に携われないという組織では、人が持つ資質を伸ばす芽を摘み、適材適所を阻害する要因になる。(多くの人が、長所を伸ばせ!と言っているにもかかわらず。)現在、多くの起業が陥っている組織の問題は、経営の機能と役職を同一視していることに端を欲する。スポーツに例えるとわかりやすいかもしれない。優秀なプレイヤーが優秀な監督になるとは限らず、優秀な監督が優秀なオーナー(GM)になるとは限らないだろう。しかし、多くの企業はプレイヤーとしても、監督としても、オーナーとしても優秀であることを求めていたりするのだ。(生涯一研究者であることを望んだ ノーベル賞サラリーマンの田中さんなどは、己の欲するところを知っている典型的な人材例だろう。)

  • 下記、記事は2009年1月11日 ジョブウェブstudentサイトに投稿

    明日、後輩の誘いで千葉までいって、「サバイバルゲーム」をしてくる。エアガンを持って、ゴーグルをして、定められたフィールドで旗を奪い合う。というヤツだが、遊びにいくわけではない。(たぶん、きっと。)
    後輩が「サバイバルゲームを通じて真剣に戦略・戦術について学べる社会人向けの講座を創るのです!」と意気込んでいたので、まずは「講座化」の可能性があるかどうか、有志でトライすることにしたのだ。

    —-

    さて、本題。

    戦略に関しては、カヴァーする範囲が広く、オプションが多岐にわたるので、「必勝のセオリー」を導き出すのは難しい。しかし、戦術に関しては、「必勝のセオリー」が存在し、これはビジネスにも応用が利く。

    それは、「戦力を集中し、敵を分断し、各個撃破する。」だ。世界史上の名将と呼ばれる存在は全てこれを実践している。そして、戦力を集中し、各個撃破するためには、「高機動」が必要不可欠なので、優れた将軍に率いられた軍隊はすべて、敵より高い機動力を備えていた。

    高い機動力があれば、兵力の総数で下回っていても、会戦場所に迅速に集まることによって、局地的に数的優位を創り出すことが出来る。数的優位とは、戦争で 勝つための絶対条件だったのだ。高機動を以て、局地的な数的優位を創り出し、数的優位を利用し各個撃破し、兵力の総数が全体でも上回ったときに、決戦して 勝敗を決する。

    チンギスハンも織田信長も、ナポレオンも、日本海海戦の東郷平八郎も全てこれを実践した。チンギスハンは騎馬軍団という当 時にあっては革命的な高機動組織で包囲殲滅の戦術を得意としたし、織田信長は、軍団の機動力を高めるために兵農分離を実行し、一つの戦場に多くの兵を集め 運用する方法を体系化した。ナポレオンの快進撃は、高い士気がもたらすフランス軍の高機動力なくしてはなしえないものだったし、日本海海戦では、最終的に は艦船の数自体は互角だったものの、利用できる砲門数を最大化する艦船運用(機動)によって、一方的な戦果をもたらした。

    数的優位が戦争で勝つための絶対条件という考え方は、「ランチェスター法則」という名でも知られており、これはランチェスター戦略という言葉でビジネス書としても出版されている。個人的には、ランチェスター戦略自体は、学ぶ価値 はあると思うが、信じすぎてもいけないと思う。「勝てる戦場を選び、戦力の集中と各個撃破」というセオリーはいいと思うのだが、その前提となる「高機動」 をいかに実現するか、十分に論じられていないし、ランチェスター戦略のエッセンスを語るだけであれば、一行で済む。書籍に書かれていることにプラスアル ファの洞察を自分なりに加える必要があるだろう。

    —-

    さて、ビジネスにおいて「高機動」というのは何を指すのか。素早 い意志決定ができる組織。というのは一つの要素だと思うが、それ以上に「プロジェクトマネジメント力」、要は「素晴らしいオペレーション」を実現できる 力。が「高機動」にあたるのではないかと思う。他の会社に比べ、半分の時間でプロジェクトを実行することができるのであれば、それは競合他社に対して圧倒 的な競争優位となる。また、必要なプロジェクトに必要なときに大量のリソースを投下することができる。という意味でも、オペレーション・エクセレンスとい うのは、ビジネス上の競争を優位に進める「高機動」ということが出来るだろう。

    我が社もまだ、「高機動」が実現出来ていない。
    戦略・戦術が間違っていれば、高い機動力はメンバーに負荷を強いるだけに終わるが、戦略・戦術に若干自信が持てるようになってきた今だからこそ、社員ひとりひとりの「機動力」を高めたい。と、切に願っている。

  • 以下は、2007年11月25日 ジョブウェブのstudentサイトに投稿したコラム。生物学の観点から経営を捉えなおしてみるというのは、僕の思考の原点だ。忘れないうちに、こちらのブログにも載せておこう。1年ちょっと前の記事だけど、今、僕が世に発していきたいメッセージと共通する部分が非常に多い。

    —-

    最近、人や組織、経営といったテーマでものごとを考えるとき、
    どうしても意識してしまうのが、生命の進化のプロセスだ。
    生命の進化と企業の成長のプロセスはとても似ている。

    進化は環境の変化によって生じる。

    高い所にある植物を食べる必要性からキリンは首が伸び、
    深く潜る必要性から、マッコウクジラは2000mを超える深海に軽々と潜水する力を得た。

    競争の激しいサバンナや浅海での生存競争から、それぞれの種が何とか生き延びるために編み出した、
    生命の種が描いた処方箋だ。

    企業に例えると、これはニッチ市場を狙い、その分野に徹底して特化したスキルを磨いた企業に該当する。
    サバンナや浅海といった、マスマーケットで勝負はしない。地上3mを超える高木。2000mを超える深海。
    競争のない世界で悠々と食事を食む生物に似ている。

    —-

    種は必要に迫られて、試行錯誤を繰り返し、長い時間をかけ、命を削りながら自らが生きる領域を定める。
    企業もその生存をかけ、自らが生きる領域を決定する。この生きる領域を定めるプロセスが、戦略だ。
    戦略の本質は差別化にあり、差別化とは、どのように市場をセグメンテーションし、どの領域で勝負するか
    定めるということに他ならない。

    生きる領域を定めた後にも試練がある。

    その領域の競争相手に先んじるための、商品であり、営業力だ。
    競争の激しいこの世界では、商品も、営業も差別化が必要だ。
    全てのニーズを満たす商品や、何でも売れる営業部隊というものは存在しない。
    何を捨て、何を得るか。
    どの能力を伸ばし、どの能力に関しては我慢するか。

    そこにも激しい生存競争が存在する。

    —-

    戦略面で優位性を描くことが出来、差別化された市場に差別化された商品を投じることが出来たとしよう。
    そこに何が生じるか。

    競争がない。作れば売れる世界。
    価格が適正であれば、市場が飽和するまで、商品は売れ続けるだろう。
    そこに競争は存在せず、営業担当者はその役割を失い、牙を研ぐ機会を失う。

    価格を高くする。という自己変革を自らに課す企業はどうだ?
    抵抗にはあいつつも、商品は売れるだろう。
    高価格というハードルを突きつけられることで、営業担当者も成長の機会を得る。

    しかし、競合は早晩その「美味しい」市場に気付き、万難を排して、その市場に乗り出してくるだろう。
    新たな生存競争の始まりだ。

    —-

    皮肉なことに、厳しい世界のほうが、個は磨かれる。
    厳しい環境を生き残るために、特定の能力が磨かれる(=進化する)のだ。

    だから良い経営者は、自らの会社に絶えず変革を要求するのだが、現在のポジションに満足してしまう企業も多い。

    差別化された市場、差別化された商品を得た企業では、「使えない」「傲慢な」営業が多くなるかも知れない。
    しかし一方で、市場及び商品の差別化をはからず、営業担当者を厳しい環境にほうりこみつつ、
    厳しい環境の原因を自らに求めない企業や経営者も結局のところ、多い。

    自己変革は痛みを伴うため、なかなか出来ない。
    しかし、結局のところ変化を見越して、自ら環境変化を生み出し、自己変革(=進化)できる企業が強いんだろう。

    厳しい世界(=環境)は、成長のために自ら課したものなのか。
    それとも無能・無策から生まれたものなのか。
    似ているようで、大きく違う。

    —-

    最期に多様性について。

    生物の世界では定期的に「大絶滅」がおきる。
    進化を遂げ、大絶滅から生き残るために生物が取りうる唯一の方法は多様化をはかること。

    常に事前に準備し、大絶滅を引き起こす環境変化が生じたときに、その変化を生き延びうる個体を生み出しておくことだ。

    組織もきっと一緒で、同じような人ばかりがいる組織よりは、多様な人が存在する(採用する)組織のほうが、
    変化に強いに違いない。

    もちろん、「生存」する意思がない人ばかりの組織であれば、多様であっても崩壊するに違いないが。

  • 子供の頃、横山光輝の三国志が好きで、よく読んでいた。

    マンガの中で、軍師や将軍といった「上司」の命令を無視して戦果を挙げ、評価されるという例がちょくちょく出てくる。現代の戦争では軍令違反は厳罰だろうし、ビジネスの世界でも上司の命令には従うのが基本だ。上司の命令を無視して成果を挙げても、一時的に評価はするけれど、きっと上司としては面白くないだろう。「生意気なヤツだ。」となって、そのうちクビをきられたり、閑職に追いやられる可能性が高すぎる。だから、上司の指示に反する行動をとるときは、説明する。というのが最低限必要な行動になる。

    —-

    しかし、今、自分自身が上司の立場になって思うこととしては、「自分も完全じゃないのだから、指示・命令を無視しても戦果を挙げればいいんじゃないか。」とたまに思うようになってきた。まぁ、通常は了解を得てからものごとを進めるのが基本だが、状況によって、それが出来づらいときもあるだろう。もちろん、組織の秩序が崩れるので、どちらかというと鬼手の類だが、もしかしたら、イノベーションを起こすきっかけにはなるかもしれない。

    —-

    ジョブウェブの来期の経営戦略は取締役のYと、2年生のばっちょが、マジで気合を入れて創っている。おそらく、かなり正しいプランが出来るはずだ。意図を汲んで先行して動いているシステム部の開発計画も面白いものになりそうな予感だ。

    自分は、といえば、実は去年まで自分が行っていた仕事は、後輩のメンバーに任せることができるんじゃないか(あるいは自分よりももっとうまくやるんじゃないか)という気がしているので、mtgの場に顔を出して、計画の達成が厳しくなってきたときに緊急対応的に自分のリソースを突っ込むだけでうまく行くんじゃないかと思っている。

    時間が、少し余りそうだ。

    自分自身の来期の時間の使い方に思いをめぐらす。

    そう考えたときに、戦略の意図から大きく外れていないが、少し外れたことをやって、イノベーションを起こせないか試してみるのも悪くないかと思ったり。なんていうのかな。寿司に付くわさびやガリみたいな動きのイメージかな。ある意味戦略の意図を無視する動きになるのであれば、相当なハイリターンが求められる動きになる。

    もちろん、今は古代ではない。だから、了解をとってから動くことが大事なのだが、ある意味、「まぁ、そこまで言うならしょうがないからやってみろ。」的な許可の出し方であっても、期待を上回る戦果を挙げればそれは許されたりするんじゃないだろうか。もちろん、ハイリスク・ハイリターンであることに間違いはないが、90%は戦略どおり。10%は意図せぬ変化を起こすことが、意外と戦略自体を強くすることに繋がるんじゃないかなぁ。(意図せぬ変化も戦略の中に含めるというほうが正確かも知れないけれど。)

    お知らせ:

    そうそう、これまでblogを更新していたすぐる(くまはち)氏は、本人の力不足により、ブログ界から物言わず、静かに去りました。これからは私fukuiがメイン担当として、ジョブウェブ社 内外のネタを書いていこうと思います。すぐる氏には、ガチャピンblogにおけるムックのような存在感で、たまにblogを更新していただこうと思っています。