• 野中郁次郎先生を初めとした、6人の執筆陣による傑作「戦略の本質」をようやく読了した。
    昨年の年末に「1月に開催するセミナーの参考資料として」購入してから、実に4ヶ月近い時間をかけて読んだことになる。

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    高校生ぐらいまでは、多読・速読派だったが、今は、一冊の本を読むのに本当に時間がかかるようになった。数ページ読む毎に、自分自身の経験や過去に読んだ本の内容と照らし合わせながら読むようになったからか。使い分けることができれば本当はもっと良いのだろうけど、本当に隅々まで読んでしまう。

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    さて、そんな本書だが、傑作だった。本書を通じて執筆陣が伝えたかったことはまえがきに全て語られているので、一部転載する。

    「戦略論がないわけではなかったが、流行している戦略論は分析的な戦略策定に終始していた。分析的な戦略論が行き過ぎた結果、戦略を実践する人間の顔が見えなくなっていた。」

    「戦略とは、何かを分析することではない、本質を洞察しそれを実践すること、認識と実践を組織的に綜合することであるはずだ、という確信をわれわれは持つに至った。そこから導き出されたのは、戦略を左右し、逆転を産み出す鍵はリーダーの信念や資質にあるのではないか、という仮説であった。そこからプロジェクトは再開された。」

    「日本のリーダーには徹底的にリアリズムが欠落していると同時に、理想主義も貧困である、ということであった。この布アツの指摘は相矛盾しているように思われるかもしれないが、優れた戦略的リーダーはこれらを同時に達成しているのである。」

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    戦略の本質は、20世紀に起きた6つの戦争(局地戦が主だ)を取り上げ、不利な状態から逆転を成し遂げた、「逆転のリーダーシップ」に関して触れている。僕が気に入った点は下記だ。

    ・戦わずして勝つ。というところが戦略の王道ではあるが、戦わずして勝つために、部分的な勝利を得る必要がある場合もある。そういう意味で、クラウゼヴィッツの「戦争とは、異なる手段を以てする政治の延長に過ぎない。」という言葉を実によく表しているものを取り上げている。政治の延長故に、世論をいかに味方につけるか。世界を味方につけるために、どのような勝利を納める必要があったか。を詳しく書いている。

    ・「戦略の本質が最も現れるのは逆転現象ではないか」著者らのこの仮説は、多少乱暴には感じる。しかし、世の中の多くのリーダーが求められているのは、「不利な状況から、勝利する」ということなので、この仮説に基づいた事例紹介、研究はビジネスに転用が利きやすく、参考になる。

    ・戦略に達するための分析的アプローチを否定しているわけではない。数字や現場の視察によるリアリズムを重視した上で、理想主義も大切である。と述べており、それは両立するモノである。と述べている。世のリーダーの多くは、リアリズムがある人は理想主義がなく、理想主義がある人はリアリズムがないように感じる。経営陣で役割分担できていれば問題ないのだが、基本的には経営者のもとには同質型の人材が集まるために、役割分担が出来ていないケースもままあるだろう。

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    満足のいく、戦略の教科書に出会うことは稀だ。

    戦略の本質は差別化にある。
    己の強みを活かし、弱みを消す。他の強みを消し、弱みを攻める。
    様々な(そして新しい)分析の手法を知る。

    そういった何にでも当てはまるセオリーはあるが、セオリー通りに行っているだけでは、ライバルに打つ手を読まれて命取りになる。常に、現在おかれている環境や利用できる資源に応じて、臨機応変に戦略を立案していかねばならない。そうするためには、教科書を読み、セオリーを学ぶだけでは不十分だ。(もっともそれは最低限必要な行為ではある。)

    置かれた環境に応じて、解決策を立案する洞察力の訓練が必要不可欠だ。
    (あなたが、他に対して差別化され、比較優位を築ける戦略を立案したいのであれば、きっと。)

    軍隊では、事例研究に重きを置く(MBAのケースメソッドも軍隊の事例研究から生まれたモノだっただろうか。)というが、事例を学び、現在に応用して考えるにあたって、この「戦略の本質」は非常に優れた事例研究の書であると言える。

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    歴史に学ぶ。自分未来塾の「歴史学」でもこの要素をもっともっと強くしていきたい。と思いを新たにした。