ジョブウェブでは一部人材紹介のビジネスも手がけているが、どちらかというとキャリアカウンセリングの色合いが強い。そして紹介ビジネス自体も、少し見直しをかける必要があるだろう。と思っている。と、いうのも人材紹介のビジネスは構造的な問題を抱えているからだ。
ある人材紹介会社を例にあげると、ある部署で月間2000人の求職者の方と面談する。このうち、本気で決まりそうと感じる(要はある程度他社で通用するスキルを持ち、キャリアに対する要求水準が妥当)な人は400~500人程度。要は20~25%程度だ。それ以外の人には形だけ求人情報を伝えたりするものの、本気で求職者のためには動かない(動く気になれない)ようだ。実際の成約率(転職が決まる率)は10~15%が業界平均らしい。(経済が後退期に入っている現在はもっとずっと少ないだろう。売上が4割減になっているそうだから、面談した人のうち6~9%決めればいいほうか。
ちなみに、いつの時代でも「極めて能力の高い人」に対しての引き合いのニーズは変わらない。いればいただけ、自社の売上に貢献できる人材は、いつの時代でも必要とされるからだ。ただし、こういう人材は転職サイトにはなかなか出てこない。専門のヘッドハンターから直接連絡がかかってくる。大体、能力の高い人は、自分の市場価値を知っているから、自分自身である程度キャリアは選べる。せめて同じぐらいのレベルか、すごく聞く力のある人としか話はしたくないものだ。このヘッドハンティングビジネスは市場は小さいが、一人当たりの成約単価は高く、小さいながらも市場はつねに存在し続けるだろう。
本来、本当にキャリアカウンセリングが必要な層は年収250~500万ぐらいのレンジにいる人たちだろうか。紹介会社を良く使う層もこの領域だ。
紹介会社は一人人材の入社が確定すると、紹介費として25~35%程度の紹介手数料をいただくような契約を結んでいるケースが多い(入社してすぐにやめてしまうとこれらのうちの一定比率を返さなければならない。)この手数料を得るための、手っ取り早い方法としては言い方は余りよろしくないが、
- 求める人材のレベルがそれほど高くない企業から紹介の依頼を受け、
- 応募してきた人をとにかく送り込む
ことになる。年棒300万ちょいだとしても、送り込むことが出来れば、100万近くの粗利を得ることができる。ビジネスとしてはそんなに悪くもないだろう。
しかし、ちょっと落ち着いて考える必要がある。
求職者はこれで本当にハッピーになれるのか?
もちろん、ハッピーになれるケースもあるだろう。しかし、「100万近くなる紹介手数料を払ってまで、それほど高くない人材を求めている会社」とはどういう会社か考えてみる必要があるだろう。ウェブ上から応募が合った人をとれば、100万からなる手数料など払わなくとも良いのだ。
考えられることとしては、
- 入社前に伝えられていた内容と現実の仕事が大きく異なる会社
- 雇用条件が厳しく、普通にウェブ上に求人を出していても、人が応募してこない会社
などがこれに当たるのだろうか。いずれにしても、働く人にとってはあまりよい環境とは言えなそうだ。
転職の相談に訪れる人の多くは、「ただ転職できればいい」と考えているのではなく、「キャリアアップできる職場」「専門知識を活かせる職場」「社風や待遇が良い会社」を求めて、転職の相談にこられる。企業にとっては紹介会社に払わねばならない、年収の30%という費用はどうしても雇用の際の心理的なハードルとなるので、その分入社は難しくなる。(ただし、非常に信頼できるヘッドハンターと契約している場合は、その限りではない。)
また、応募者が殺到しているような人気企業が紹介されることはほとんどないだろう。
ようは、本当に真剣に求職者の相談に乗るのであれば、人材紹介会社を経由しないほうが、紹介フィーが発生しない分だけ、求職者の転職はしやすくなるのだ。紹介会社は、この「高まるハードル」の分を「求人情報提供」と「受かり方のコツを伝える」ことで、カバーしているが、果たしてそのカヴァー分が100万を超えるコストほどの効果があるかどうかは不明だ。
本来、転職の相談やキャリアカウンセリングは、自分自身がお金を払って、キャリア相談にのってもらう。あるいはエージェントに動いてもらう。(成功報酬費は自分の年収から払う)という形をとるのが適切だと思う(スポーツエージェントの世界ではそうなっているね。)そうしたほうが結果的に安く、より良いキャリアを見つけることができる。という時代がそろそろ来るのではないだろうか。
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僕がこういうことを書くのは、最近20代で3回ぐらい転職を経験している人たちを本当によく見かけるようになったからだ。彼ら自身がキャリアについて考える機会を失いつつあるのかもしれないし、能力が足りないだけかもしれない。しかし、一部には「紹介会社に乗せられて」ついつい就職活動をしてしまった。という事例もあると思う。本来その求人者がいける企業よりも1ランク落として、紹介するとか、世間でブラックといわれている会社に無理矢理送り込んでいるケースもあると思う。そういう人たちはキャリアを広げる機会を失う、本当に可愛そうな人たちだ。(20代で3回転職を経験すると、もう紹介できる先はない。というような話が、人材紹介会社の中ではささやかれていたりする。
月並みだけど、必要なことは、転職会社に相談することではなくて、自らの頭と心で、自分はどういう仕事に向くのかを徹底的に考えてみることかもしれない。まずは。






4月 7th, 2009 at 7:08 AM
[...] 春。別れと出会いの季節ですね。 うちの社長がある会社の役員の方にご挨拶のメールを送ったところ、次のような返事をもらったとのこと。 非常に印象に残る言葉だったので、転記。 「人生も会社も、いろいろな山谷、紆余曲折があるものだなぁとしみじみと感じます。 ただ言えるのは、会社間の付き合いよりも、個人間の信頼関係のほうが常に強固で、 寿命も長いということです。」 —- 弊社の中途社員は、社員からの紹介で入ってきた方がほとんどで、例外なくハイパフォーマーだ。 紹介会社に登録すると、ある意味不当に評価されるかもしれない人でも、個人間の信頼関係、あるいは実力を知り尽くしている個人からの紹介になるので、実力と適性を評価できる。 もっとも、これは弊社に限ったことではない。世の中の企業の多くが、「知り合いからの紹介」というルートで人材を採用しているのではないだろうか。会社間の付き合い、マッチングシステムも非常に重要だが、「差別化」という観点からいうと、個人間の信頼関係に基づき、マッチングシステムから漏れてしまう人材を適切な場所に紹介する。というビジネスは成り立ちうる。(ただし、以前のエントリでも述べたが、紹介事業には構造的な問題があるので、紹介した先から費用を頂くというモデルは適切ではないだろう。) そのやり方が、効率がいいか、悪いかはまた別の問題で、そこはモデルの組み方次第だろう。という気はする。 ただ一ついえることは、間違いなくそこにニーズは存在すると言うことだ。 今も昔も、そして、中途採用市場が急成長していた昨年までも、常に「個人間による紹介」は転職の主要ルートであった。この不況下、確かに転職は厳しくなっている。しかし、さっくり転職を決める人も数多くいて、その人達は、信頼関係のある家族、友人、取引先が多かったということだ。(もちろん、良い仕事をし続けてきた。という前提条件はある。) 株式会社という存在を否定するわけではない。 人間が産んだ偉大な発明の一つだし、世の中の多くのことを解決してきた存在だ。 一つの問題が解決されると次にまた改めて、新しい問題が発生する。 これは社会自体が進歩している証だ。 工業化がなければ、環境破壊もなかった。 工業化を否定するのではなく、受け入れることで、更なる進歩のプロセスを刻むことができる。 人材分野に関してもきっとそうだ。 紹介によるマッチングビジネスが出来て、転職市場が活発化した。 だからこそ、起きている問題もたくさんある。 しかし、それを進歩のプロセスの中で解決していくことこそが、株式会社の使命だと思う。 —- 本当に必要なキャリア支援のサービス(そして、ある意味転職支援のサービス)とは、「能力を磨き、高める場を設けること」「信頼関係を築ける仲間と出会えること」なのではないかと、改めて思ってみたりする。 ジョブウェブが取り組んでいる、自分未来塾もそういう場にしたいと思うし、出来るのではないか。 という直感がある。 [...]