• fukui, 今週の一冊 15.10.2009
    「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない。」

     これは、物語のキーマン、中学生のポンちゃんが、国会中継を通じ、世界に対して発するメッセージだ。

     『希望の国のエクソダス』は社会に溢れる閉塞感の中で、オトナのつくった秩序やルールに納得できない中学生たちが、インターネットと法律、金融の知識を活かして、日本という国を脱出(エクソダス)し、自分たちの理想の国をつくる。という話。

     読んでみて強烈に感じたのが、村上龍の時代を読む感性の鋭さだ。
     2000年に出版された本だが、今でも古さを感じさせない。

     物語は、日本を捨てパキスタン北西部、アフガニスタンとの国境境でパシュトゥーン(戦闘的な部族民のひとつ)として生きる10代の少年がCNNに取材されるところから始まる。

     村上龍は、執筆当時流行していたグローバリゼーション、アメリカ的な金融・経営システムとは異なる価値観を描くことで、価値観と多様性の理解の必要性を説きたかった。と語っているが、彼が感じていた問題が現実化する出来事が出版から1年後に起きる。言わずと知れた、9.11 同時多発テロだ。

     この本を読むと、テクノロジーは進歩したかもしれないが、日本という国は2000年から何も進歩していないということがわかる。経済・雇用・少子化・外交といった日本が抱える様々な問題は悪くなりこそすれ、良くはなっていない。私達にも、それぞれが出来る方法で、希望の国をつくる努力が求められているのかもしれない。

    (評価)
    – 自分にとっての希望を考えたいオトナに。まだ諦めていない全ての人に。
    ★★★☆☆(星3つ。経済に対しての言及がもう少しシンプルであれば、星4つだったかなぁ…)

    Posted by fukui @ 4:45 PM

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