
今週末に槌屋詩野さん(@shinokko)にお会いしに行き、その時のインプットをできるだけ多くしたいので、今週は急ピッチでBOPビジネス分野のインプットの土台を固めているところです。試験期間中ですが、試験勉強はほとんどしていませんが…笑 授業もないので大学受験期に戻ったような感覚です。
前回の「BOPプロトコル その1 導入」に続いて、今回からは少し具体的な方法論に入っていきたいと思います。主に原著の翻訳&要約になりますので、英語能力の関係で至らない点が多いと思われますが、ご了承ください笑 今回もBOPプロトコルだけでなく、Hart著の「未来をつくる資本主義」もご参考下さい。
事前段階(Pre-fields)は大きく分けて4つの要素に分けられます。サイト(対象地域)の設定、チームの選定と訓練、現地パートナーの選抜、そしてそれらの中核をなすためのR&Dの余白スペースを作ることです。BOPプロトコルより以下の図を抜粋します。ではこれから一つ一つの要素を具体的に取り上げていきたいと思います。
まず、第一に「サイト(対象地域)の設定」です。地域対象は長期的な利益を上げられるかどうかといった戦略的な要因も関わってくるのだと思いますが、二つ大事な要素を取り上げるとしたら、パートナーとなる機関がいる地域、またその関係を促進できるような施設(オフィスなど)がある場所だ望ましいとされています。加えて、すでに自社のビジネスが現地に定着していな地域の選定も必要です。新規事業を既存の基準や活動と混同されるリスクを減らしつつ、プロセスを進めることができるからです。
二つ以上の地域で同時にプロジェクトを立ち上げることは、コミュニティ間での学習機会を増やし、またプロジェクトが育っていく中で連携し結束したものにしていく意味では有益かもしれません。しかし一方で複雑性を増し、プロジェクト間でのコーディネートが難しくなる側面も持ってしまいます。特に農村部と都市部など、コミュニティの状況が大きく違うと予想される地域では、そうした問題が出てくる可能性は容易に想像できます。大切なのことは、立ち上げた後、その全てのプロジェクトをそれ以降のBOPプロトコルのフェーズの中で発展させていくことができるか、またそれをするつもりがあるかということです。
現実の例として、このBOPプロトコルの中ではSC JohnsonとDupontのジョイントベンチャーのSolae Companyの事例を紹介しています。SC Johnsonは東アフリカ最大のスラムでもあるキベラや車で5時間かかるような農村部で、またSolae Companyはインドの電車で2時間、車で1時間かけて行くような農村部でプロジェクトを展開しています。こうした対象地域でのパートナーシップなどは後述します。
事前段階として必要なこと、第二は「チームを作り、事前準備(訓練)をすること」です。一つのプロジェクトに4人ほどのメンバーが望ましいとされています。そしてメンバーの能力としては、マーケティング戦略やR&Dなど専門性に長けていて、企業の技術や能力、開発プロセスやその継続性に精通している人、またコミュニティファシリテーターとしての能力なども必要とされます。また追加メンバーはコミュニティやパートナーが決まった後、そうしたコミュニティにつながりを持てる人が望ましいようです。こうした既存の能力に加えて、BOPビジネスのコンセプトへの理解、参加型手法を身につけること、その他BOPプロトコルにある倫理規範や基本的なスキルを理解し、身につけることが事前準備として必要とされます。
分かり易くて面白いのが必要な資質について。起業家(起業家精神を発揮した)経験のある人材、貧困の解決に対して持続可能なビジネスを用いた貢献への情熱のある人材などが挙げられています。またチームも5年以上企業で経験を積んだマネージャーなどと、若手(新入社員も!! )とを混合させて編成することで、企業の技術や能力などに精通しつつ、新しい可能性にも柔軟なチームになれるようです。加えて、こうした年齢層に幅を持たせえる、男女混合のチーム編成にすることは、何よりもコミュニティへのアクセス機会を増やすことにもつながります。最後に、ここが大事だと思ったのですが、プロジェクトのある国の人材という点です。やはりそうだなと思うのですが、そうなってくると日本の若手でBOPビジネスに関わりたいという人はかなり枠がせまいのかもしれませんね… (槌屋さんのブログ記事にもこうした内容の記事があったので、ご参考下さい!!)。実際にSolae Companyの事例でも若手で採用されてるメンバーはインドのMBA出身のようです。
第三に「現地のパートナーの選別」です。チームは残念ながら「よそ者」として、そのコミュニティに参入していきます。それは仕方がないことですが、その際に現地で活動する、現地拠点の組織とのパートナーシップ重要となります。こうしたパートナーシップがチームにコミュニティ内での信頼とまた知識を与えるのです。望ましいパートナーの条件として3つ挙げられています。一つは、チームが参加することでもたらされる新しい機会と能力、ビジネスを通してミッションを達成するということにオープンなこと。二つ目は、参加型開発に携わった経験を持っていること。そして三つ目は、オフィスがコミュニティ内にあることや、コミュニティに住んでいるなど、物理的そして社会的にそのコミュニティに拠点を置いているということです。SC Johnsonは現地のCarolina for Kiberaと、Solae CompanyはModern Architects for Rural Indiaなどの団体とパートナーシップを結んでいます。
最後に、これらの三つの中核にある考えとして「R&DのWhite Space(余白)を作ること」があります。このプロジェクトを進める上で重要なことの一つに、企業の技術やリソースに関して精通しつつも、日常のビジネスやビジネス的な考えからは独立して活動を進めないといけないということです。これは実はかなり難しいことなのではないかと思います。ついつい、ビジネスの対象は何だとか、うちの製品の何を使えるのかとか考えてしまいそうですが、これが決定的に重要な要素なのだと思います。「未来をつくる資本主義」の中でセメックス(メキシコのセメント業者)の事例の中から以下を引用します、
自分で家を建てる貧困者が直面する問題や障害を理解するために、マネージャー数人に貧民街で6カ月暮らすように指示した。またその際の条件として、貧民街にいる間は、セメントのことは一切忘れるように命じた。…その結果は非常に大きかったようだ。…目先の事業計画から解放されたセメックスのマネージャー達は、地元住民の信頼を勝ち取り、最後には、彼らのニーズに応える予想もつかないようなアイデアを得ることができた。つまり、製品やサービスの開発に先駆けて、地域を巻き込むことが重要なのだ。
またプロジェクトはR&Dの特殊なものとして予算を与えら得るようにし、その認識は「新しいビジネスモデルへのR&D」の投資であることが重要です。BOPビジネスでよく言われることですが、その投資期間と評価(学習評価)機関は長期的である必要があります。これはPatient capitalやPatient Investmentと言うのと同じで、ソーシャルビジネスなどと通じてくるものがあるのだと思います。加えてこの特殊なR&Dを継続し、企業の中心的な活動に巻き込んでいくために、チームに経営層のトップへのアクセス、最先端の技術やリソース、情報へのアクセスを許可することが必要です。SC JohnsonやSolae Companyの事例でも、プロジェクトはCEOや持続可能性関係の部署のトップが関わっています。こうした企業が一丸となってチームを支える環境が、チームの画期的な発見や、革新的なアイデアを現実に結び付けていく原動力になっていくのだと思います。
以上が、事前準備の段階で紹介されているものです。英語の解釈に正直自身がないのですが、感覚は十分つかんで頂けるかなと思います。興味をもたれた方は、是非BOPプロトコルの原著をお読みください!! コーネル大学のWebから無料でダウンロードできます。

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