BOPビジネス概論:市場を開拓する人材要件 その1
その1:はじめに
その2:市場の特徴
その3:ターゲット市場の特定
その4:マーケティング・ミックス 1 2 3
その5:日本企業への提言
その6:市場を開拓する人材要件 1 2
さて、これまでBOPビジネスとは何か、成功するためにはどうしたら良いか。ということを論じてきたわけですが、最後にBOPビジネスで成功するためには、どのような人材が必要か、どのように人材育成をはかっていくべきか。ということに関していくつかデータを紹介しながら述べていきたいと思います。
成長を続ける新興市場

資料:IMF Gross domestic product, current prices U.S. dollarsより作成
2015-2024の期間はIMFによる2009-2014の平均成長率予測に基づき試算
グラフにして改めて示すまでもなく、新興市場の可能性に関しては誰もが理解していることと思います。人口動態の変化から、10数年後には世界のメイン市場が新興市場に移るという未来が予見できます。この未来に対してどのように対応していくかが、これからの日本企業の命運を握っているといっても過言ではないと思います。
現在、日本企業はグローバル化に対する格差の問題に直面しています。

資料:財務省「法人企業統計」から三菱UFJ証券が作成(縦軸の単位は百万円)
上記は経済産業のレポート、
日本の産業を巡る現状と課題から引用したものですが、このグラフによるとバブルが崩壊した1990年を境にグローバル化にうまく対応できたグローバル製造四業種は一人当たりの付加価値をおおいに高め、それ以外の業種は低生産性にあえいでいるという状況が見て取れます。
今後、先進国の例にもれず、国内市場の成長が鈍化すると予測される以上、新興国向けのビジネスをいかに早く手がけるかが国内企業共通のテーマになっています。
韓国に学ぶ、グローバル人材の育成
野村総合研究所のレポート、
新興国市場の成長と日本企業の戦略ではいくつかの興味深い指摘がなされています。
- 2010年は中国を中心とするアジア経済が世界を牽引すること
- 新興市場に対して日本企業は出遅れていること
- 新興市場で強い韓国企業の戦略は「先行者利益」を得ること
- 日本は新興市場で活躍できるグローバル人材が不足していること
以上のような主張ですが、新興市場の開拓に関してボトルネックになっているのがグローバル人材の不足と結論づけている点は大変興味深いです。
レポートの中で、グローバルで活躍出来る人材の育成のためにサムスン電子が取り組んでいる「地域専門家制度」についても触れられています。これは、年間約200人の若手社員を各国に送り込み、地域に精通させることを目的とした制度で、最初の1年間は仕事上の義務はなく、言語、文化、風習を学ばせることに集中させるとのことです。新興国に精通したビジネスパースンをつくり、現地にコネクションを築くのに大変有用で、新興市場攻略のために考え抜かれた制度と言えます。
2004年までの11年間で3000人の地域専門家を生み出したそうですが、こういった戦略的な取り組みが、一部の大手製造業や総合商社のみならず、中小・ベンチャー企業でも必要とされている時代がきているように感じます。
実際に海外移住者の数は少ないのか
最後に、国内の人材が海外に出ていく数は実際に少ないのか。という疑問に関してデータを紹介したいと思います。

資料:OECD.statsextractより作成
これは、市民権を持つ国民の人数に占める、海外移住者の比率を示したグラフです。中国と韓国のデータが欲しかったのですが、OECDのデータベース内に存在しなかったので、朝鮮民族と漢民族のデータをWikipediaから引用して参考資料として載せています。(他の国の数値は参政権を持つ市民権ベースの数字になっていますが、朝鮮民族と漢民族に関しては人口に対しての比率になっています。ただ、感覚をつかむ上では問題ないと判断し、掲載しました。)
日本の在留邦人比率は1.1%で、データがある諸国の中央値より遥かに下に位置しています。経済状況や言語、国の立地からくるものと思われるが、他国に比べて国民が国内に留まる傾向は強いようです。グローバルで活躍する人材を育成し、活躍の場を与えることは今後様々な業界・企業で必要になってくるものと思われます。
詳細なデータは下記に記します。
さて、次回でこの連載に関しても一区切り。次回エントリでは、GIFTの代表であるチャンドランの見解をもとに、グローバルで活躍する人材に必要な資質・スキルに関して具体的に見ていきたいと思います。
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